(独)農業環境技術研究所は7月22日、(独)海洋研究開発機構と共同で、世界のコムギとコメの出来具合を収穫の3カ月前に予測する豊凶予測手法を開発したと発表した。
■「短期気候変動予測モデル」を活用
近年、多くの国々でコムギやコメの輸入量が増加し、輸出国の不作や国際市場価格の上昇が開発途上地域の低所得層の栄養状態を悪化させる一因になっている。こうしたことから世界の穀物生産の動向を高い確度で監視できるシステムの開発が求められている。
しかし、季節予測による主要穀物の豊凶予測は、一部の地域で行なわれているものの、世界規模で行なえるまでにはいたっていない。
それに対し、今回の手法は、世界各地のコムギ、コメの豊凶を予測できるようにしようというもので、豪・英・米の研究者の協力を得て開発した。
この豊凶予測手法は、海洋研究開発機構が開発した「短期気候変動予測モデル」を活用して生育後期3カ月の気温と土壌水分量の予測(季節予測)を行なってコムギとコメの収量を収穫の3カ月前に推定するという方式。
同研究所は、この予測手法により「これまでオーストラリアなど限られた地域で行なわれていた気象条件のみに基づく豊凶推定が世界規模で可能になった」とし、「コムギとコメの豊凶を世界の栽培面積の約2割について、収穫3カ月前に予測できた」といっている。