(独)物質・材料研究機構と(独)土木研究所は7月23日、両者の研究協力を促進・強化するため包括的連携協定を同日締結したと発表した。わが国では、建設後50年以上経過するインフラ施設が増えており、その維持補修・更新を安全かつ低コストで行なうにはどうするかという新たな課題が浮上してきている。
■沖縄・伊良部大橋を利用した共同研究も
両機関は、共につくば市(茨城)に本部を置く公的研究所で、これまでも技術交流会などを通じて協力し合ってきたが、保有技術、研究能力、人材などをより積極的に相互に活かし合って求められる社会インフラの強靭化(きょうじんか)・効率化に役立つ研究開発を進めようと連携協定締結に踏み切ったもの。
具体的な研究課題として、(1)鉄鋼材料などの実橋曝露試験とモニタリング技術の開発(2)非破壊診断技術による構造物の材質劣化評価技術の確立(3)金属溶射技術を適用した防食・肉盛補修技術の開発、などの検討を進めている。また、沖縄県の宮古島と伊良部島の間で建設が進んでいる伊良部大橋を利用して橋の劣化を早期に発見する技術の研究開発を共同で行うとしている。
この連携協定締結について物材機構は、「実構造物の解析や実環境下での評価を行なうことで、実用化を見据えた研究開発を加速化できる」とし、土木研も「最先端の材料技術をいち早く適用して社会インフラの長寿命化や安全性の確保を早期に実現できる」と、それぞれ大きな期待を寄せている。