世界中の海に生息する円石藻類のゲノムを解読
―光合成、殻形成などで気候変動に関与
:筑波大学/ゲノム配列コンソーシアム

円石藻類の一種「エミリアニア・ハクスレイ」の電子顕微鏡写真(提供:筑波大学)

 筑波大学は7月1日、米カリフォルニア大学のリード教授を代表とする円石藻類ゲノム配列コンソーシアムの解読チームのもとで、世界中の海に大量に生息し、気候変動などに重要な役割を演じている円石藻類のゲノムの全塩基配列を解読したと発表した。

 

■3万3,431個の遺伝子持つ

 

 円石藻類は海洋性の微小藻類(植物プランクトン)で、石灰(炭酸カルシウム)でできた特徴的な円盤状のプレート(円石)からなる殻で細胞が覆われている。光合成や炭酸カルシウムの殻への取り込みなどにより、海洋生態系の食物連鎖はもとより、海洋・大気系における炭素やリンの物質循環、気候変動要因である二酸化炭素量の調節などに深くかかわっていると考えられている。
 今回ゲノム解析したのは「エミリアニア・ハクスレイ」と呼ばれる円石藻の一種で、円石藻のなかでも分布域が際立って広く、生息数が多い。
 解析の結果、ゲノムサイズは約168Mbp(メガベースペア、168万塩基対)で、3万3,431個の遺伝子を持つことが明らかになったという。また、エミリアニア・ハクスレイの13の系統(タイプ)についてゲノム解析し、その結果を比較したところ、光合成、栄養摂取、殻形成などの関与する塩基配列に系統間で大きな変異が見つかり、多様な環境での大発生との関連性がうかがえたという。

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