
上は 日本海溝海底地震津波観測網の整備計画。①~⑥の海域に、順次サブシステムとして設置。今回、房総沖のサブシステム①のケーブル敷設を行う。下は 観測装置の外観と構成(提供:防災科学技術研究所)
(独)防災科学技術研究所は7月3日、太平洋の日本海溝の深海底に地震津波観測網を設置する工事を7月9日から開始し、2015年からの本格運用を目指すと発表した。
文部科学省の地球観測システム研究開発費補助金による「日本海溝海底地震津波観測網の整備」事業として実施する。
■年内に三陸沖、茨城県沖、宮城県沖にも
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、同地方の各地に大きな被害をもたらした。新設する観測網は、房総半島(千葉)沖から東北地方沖、北海道東方沖にかけての日本海溝・千島海溝南部の深海底に、地上局と光ファイバー海底ケーブルで繋がる地震計・津波計(水圧計)を多数設置し、海溝型の地震・津波を連続して観測・監視できるようにして精度の高い情報をリアルタイムで発信するシステムを構築するというもの。
使用する地震計・津波計は、耐圧容器に収納され、水深8,000mまで設置できる。
各観測点が捉えた観測データは、光ファイバー海底ケーブルで2つの地上局に伝送され、そこから地上通信回線網で同研究所や気象庁などの関係機関に送信される。
工事は、房総半島沖から開始し、今年中に三陸沖、茨城県沖、宮城県沖と順次拡げて行き、来年、十勝沖(北海道)に進み、2015年から本格運用に入るとしている。