(独)防災科学技術研究所は7月3日、日本列島における夏季降水量の将来変化と地形との関係を複数の地域気候モデルを用いて調べたところ、山地の西側と南側で夏季の降水量と大雨の発生頻度が顕著に増加することが明らかになったと発表した。
■都市が多い地域で大雨の発生増える
気候変動の地球規模の予測・評価には東京大学、(独)海洋開発研究機構、国立環境研究所が共同開発した全球気候モデルが使われているが、この全球モデルでは日本列島の地形と降水の関係のような地域の詳細は分からない。
研究グループは今回、全球気候モデルの計算結果を使って気象研究所、(独)防災科学技術研究所、筑波大学の3つの地域気候モデルを駆動、日本列島における夏季の降水量の将来変化と地形の関係、モデルによる結果の相違(不確実性)を調べた。
その結果、各モデルとも日本列島において、おおむね夏季平均で3~4℃の気温上昇が予測された。また、高気圧の縁に沿う水蒸気の輸送量が増大し、日本列島に流れ込む暖湿流(南西気流)が強まり、山地の風上側斜面では上昇流が強まって雨雲の発達が促進され、
①山地の西側および南側で降水量が大きく増大する
②降水量100mmを超える大雨の頻度が、多いところでは5~10%増加する
③標高の高い所よりも、都市が多く存在する標高の低いところで日降水量100mmを超える大雨の発生頻度の増加が大きい
④山地の風下側(東側、北側)では降水の将来変化は小さい
という結果が得られたという。
防災研では今回の実験結果を自治体の今後の防災対策に役立て欲しいとしている。