(独)土木研究所は6月4日、松江土建(株)と共同開発したダム湖や湖沼の水質保全技術が日本水環境学会の平成24年度「技術賞」を受賞したと発表した。
ダム湖や湖沼の深層水は、魚や微生物などによって溶存酸素が消費されることで貧酸素化状態になりやすい。深層水が貧酸素化すると、湖底の泥から窒素やリンなどの栄養塩が湖水中に溶出して藻類の異常発生を引き起こしたり、泥中から鉄などの金属イオンが溶出したりして水が着色する現象が生じるため、ダム湖や湖沼の深層水の貧酸素化防止は世界的な課題になっている。
「技術賞」を受賞したのは、ダム湖や湖沼の深層水が貧酸素状態になるのを高効率で広範囲に回復させる技術。大気中の酸素を酸素供給設備で集め、深層水中に設置した気液溶解装置にホースで送って水中に放出・溶解させ、深層水の酸素濃度を高めて貧酸素化を回復するというもの。
すでに、山口県の島地川ダムに1基、広島県の灰塚ダムに2基、島根県の布部ダムに1基を設置済みで、海外でも中国が1基購入を決め、年内に設置される予定になっているという。

装置を使った水質保全のイメージ図(提供:土木研究所)