
開発した導電性接着剤(提供:産業技術総合研究所)
(独)産業技術総合研究所と(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、昭和電工(株)は6月3日、長期間の絶縁信頼性が極めて高い塩素フリーの導電性接着剤を開発したと発表した。昭和電工が子会社を通じて今月からサンプル出荷する。
■エポキシのエーテル化合物に着目
導電性接着剤は一般には電気をよく通す銀をエポキシ化合物(樹脂)に混合した接着剤。電子部品回路の配線には通常ハンダが用いられるが、高温処理を避けたい用途には導電性接着剤が使用される。
しかし、塩素化合物の存在下で銀は回路のショート(短絡)などの原因となるマイグレーション(移動)を起こしやすく、樹脂製造の過程で不純物として混ざる塩素化合物が導電性接着剤の性能低下の要因になっている。
研究グループは今回、これまで知られているエポキシ化合物よりも低粘度で、銀粒子との親和性が高い多官能グリジルエーテル(エポキシのエーテル化合物)に着目、特殊な触媒を用いてこれを効率的に合成する手法を見出した。
この製法で得たエポキシ化合物は塩素を使用せずに作れるので、不純物として塩素系化合物が含まれることがない。従って、新開発のエポキシ化合物を用いた導電性接着剤は、銀のマイグレーションが起きにくく、配線とデバイスとの接合の信頼性が極めて高いという。