
栽培ベッドが移動して収穫する定置型収穫ロボット(提供:農研機構)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)は6月4日、シブヤ精機(株)、愛媛県農林水産研究所と共同でイチゴ収穫ロボットを開発したと発表した。
現在、イチゴの収穫作業は、人の手で行なわれていて、栽培に要する全労働時間の4分の1程度が収穫作業に費やされているといわれる。
新開発のイチゴ収穫ロボットは、イチゴを育てる栽培ベッドが循環移動する「循環式移動栽培装置」用に開発したもので、収穫ロボットを定位置に置き、栽培ベッドが移動して摘み取るという「定置型イチゴ収穫ロボット」。生研センターは、「現地実証試験を経て平成26年度からの販売を目指す」としている。
イチゴの収穫は、目で果実を見て一定のレベルまで赤くなっていたら摘むという方法で行なわれている。新開発の定置型イチゴ収穫ロボットは、移動する栽培ベッドから画像処理で赤色のイチゴを探索し、見つけたら栽培ベッドを止め、収穫適期のイチゴだけ摘み取る仕組み。性能試験では、熟した果実のうち4~7割の果実を収穫できた。これまでの移動型の収穫ロボットでは、明るいとイチゴの色の判別の精度が下がるという難点があったが、この定置型では、果実周辺の遮光ができるようになり、明るい昼間でも果実の判別が可能となった。
循環式移動栽培装置は、イチゴの苗をこれまでの栽培方式の2倍程度の密植ができ、今回のイチゴ収穫ロボットの導入で、イチゴの大規模生産技術が構築できると生研センターはみている。