モデル実験植物と作物遺伝子つなぐ新しいDB開発
―「SABRE2(セイバー2)」、作物研究の加速に力
:理化学研究所

 (独)理化学研究所は5月14日、豊富な研究の蓄積があるモデル実験植物「シロイヌナズナ」の遺伝子情報をコムギなどの作物の遺伝子と関連付けて検索できるデータベース(DB)を開発したと発表した。理研バイオリソースセンター(理研BRC)のホームページで公開する。作物から新たに遺伝子を見つけた場合でも、シロイヌナズナの類似遺伝子と関連付けることでその機能が推測できる。基礎研究の成果を作物の新品種開発など応用研究に役立てる有力な手段になると期待している。

 

■150万超の遺伝子情報検索も

 

 新しい遺伝子データベースは、理研BRCの深海薫・情報解析技術室長と小林正智・実験植物開発室長が開発、「SABRE2(セイバー2)」と名付けた。
 コムギのほかアサガオ、ミヤコグサ、トマト、オオムギ、大豆など合計6種類の作物の遺伝子が、既に詳しく解析されているシロイヌナズナの遺伝子と関連付けて検索でき、作物で新たに見つかる遺伝子の機能解明に役立つ。
 理研はこれまでに、シロイヌナズナのほかにタバコ培養細胞やポプラなど8種類の植物の遺伝子データベース「SABRE(セイバー)」を整備してきた。今回は、このデータベースに新たに6種類の作物の遺伝子を加え、合計14種の植物の150万を超える遺伝子情報を一度に検索できるようにした。併せて、従来のセイバーに比べて3倍にも増えた遺伝子の情報から容易に目的の情報を検索できるようにするために遺伝子の検索法も大幅に改良、セイバー2とした。インターネットが利用できる環境があれば、パソコンやスマートホンで誰でも利用できる。
 シロイヌナズナは2000年に高等植物としては初めてゲノム(全遺伝情報)解読を終え、2001年以降はゲノムに含まれる2万1000個の遺伝子の機能をすべて調べる国際プロジェクトが進行中。研究グループは、新しいデータベースが広い分野で活用されて食料や環境に貢献する成果につながることが期待されるとしている。

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