人工林の大規模伐採実験を北海道の森で実施
:森林総合研究所/北海道/北海道大学/道立林業試験場

 (独)森林総合研究所は5月15日、北海道、北海道大学、(地独)北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場(道立林業試験場)と共同で人工林の公益的機能と木材生産の両立を図るための大規模な実験を北海道のトドマツ林で行なう研究協定を3機関と結んだと発表した。
 わが国では、1,000万ha(ヘクタール、1haは1万㎡)に達する人工林が伐採期を迎え、森林の生物多様性保全機能や洪水、土砂崩れなどを防ぐ水土保全機能といった公益的機能と木材生産を両立させる伐採方法の開発が求められている。
 実験は、道有林のトドマツ人工林に、伐採方法や保残率(伐採せずに残す保残木の割合)を変えた実験区を設定し、保残木を選択した後に伐採を行なう「保残伐」と呼ばれる、世界各国で行われている伐採法が生物多様性保全や水土保全に与える効果を明らかにするため実施する。
 保残伐の有効性を実証する研究は、これまで日本で行なわれたことがなく、人工林に限れば今回が世界でも初めての取り組み。
 実験は、北海道の芦別市、深川市、赤平市にあるトドマツ人工林75ha以上を使って行い、植物、鳥類、昆虫、山菜、水質と水量、渓流の動物などのモニタリングを5年間にわたって実施。伐採法の違いによる公益的機能の変化を明らかにするとともに木材生産量やコストを計測する。伐採は、2014~2016年に行う予定。
 森林総研では、「本研究の成果は、北海道にとどまらず、広く日本の人工林に参考になるものと考えられる」といっている。

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