最大出力維持時間が2倍以上に
―電動航空機用モーターコイルを開発
:宇宙航空研究開発機構/日本化薬

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本化薬(株)は5月14日、モーターの最大出力をこれまでより2倍以上長く維持し続けられる電動航空機用のモーターコイルを開発したと発表した。

 

■電動機器、大型自動車などへの応用も

 

 電動航空機は電気自動車の航空機版で、脱化石燃料や低騒音化などを狙いとした電動モーターで飛ぶ近未来の航空機。JAXAでは15~20年先をにらんで研究開発を進めている。 
 課題の一つは最大出力の維持。電気自動車では30秒程度最大出力を維持できれば実用レベルだが、電動航空機の場合は離陸する際の2~5分間程度最大出力を維持することが求められる。
 コイルは冷却が困難な部分に密集して設置されているため、通電に伴う温度上昇で電流は流れづらくなり、モーターの最大出力は次第に低下、コイルの焼損も招く。モーターの最大出力維持時間を伸ばすにはコイルの温度上昇の抑制が大きなカギを握っている。
 日本化薬は先に、反応性ポリイミド樹脂をベースに、250℃の高温で使用でき、高い熱伝導性と高い接着性を有する熱伝導耐熱絶縁材料を独自開発している。JAXAは今回この材料を電動航空機用モーターコイルに用いて性能試験した。
 その結果、最大出力維持時間は従来の2倍以上の180秒(3分)に伸び、また約1%の最大効率の向上が認められたという。試験後コイルの被覆に変化は見られず、絶縁性の確保と強固な接着性の維持も確認できたとしている。
 この技術についてJAXAは、様々な電動機器や高出力が求められるトラックなど大型自動車などへの応用が期待できるとしている。

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