(独)産業技術総合研究所は2月12日、北海道大学、九州大学、香川大学と共同で、サブマイクロメートル(1000分の1mm以下)サイズの酸化亜鉛球状粒子を用いた小型ランダムレーザー素子を開発したと発表した。発振特性に優れたレーザー素子を安価、容易に作れるため、家庭用の医療器具や照明用素材、小型光源、電子デバイスなどへの幅広い応用が期待できるという。
産総研は2010年に、液相中に分散させた原料粒子に比較的弱いパルスレーザー光を照射し、金属や酸化物のサブマイクロメートル球状粒子を得る「液中レーザー溶融法」という技術を開発した。
今回この溶融法を用いて、平均粒径約212nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の酸化亜鉛球状粒子を作製、この球状粒子を分散させた液に、レーザーを構成するための欠陥粒子としてポリマー粒子(蛍光ポリスチレン粒子)を加え、この液をガラス基板上に滴下、乾燥させて薄膜化した。
この薄膜に励起光としてパルスレーザー光を照射し特性を調べたところ、欠陥として導入したポリマー粒子部分に良好なランダムレーザー発振を確認できたという。
ランダムレーザーは通常のレーザーとは異なり、光を鏡面間で長時間閉じ込めるいわゆるキャビティ構造ではなく、欠陥を導入した光散乱体の集合体により構成される、いわゆるランダム構造を利用してレーザー発振する素子。簡単・安価に作れる半面、十分な性能が得られないという問題があった。
今回液中レーザー溶融法で得られたサイズの揃った球状粒子を用いることにより性能を向上させることができたという。
No.2013-6
2013年2月11日~2013年2月17日