広葉樹を宿主にすることに成功
―マツタケ栽培の実現に一歩
:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は2月5日、熱帯産の広葉樹をマツタケの宿主(菌類などが寄生する生物)とすることに成功したと発表した。
 マツタケは、宿主である松の根に感染して共生し、その根から栄養をとって生育する。このため、マツタケの栽培を目指してこれまでアカマツが使われてきたが、どこも未だマツタケの栽培化に成功していない。
 森林総研は、「アカマツよりもマツタケが容易に共生する樹木はないのか」と視点を変え、実験室内で培養し易い樹木を対象に調べた結果、高級木材として利用されるマホガニーと同じセンダン科の樹木で、中南米に生育する広葉樹「セドロ」がマツタケの宿主に適していることを発見した。
 マツタケは、木材を分解して生育するシイタケなどとは違い、生きている樹木の根に共生し、菌根(植物の根と菌類が作る共生体)から菌糸を広げて「シロ」と呼ばれる塊状の菌糸の集団を作って子実体(キノコ)を発生させている。
 森林総研は、今回、セドロの無菌苗を宿主に使ってマツタケ菌根とシロの形成に成功した。「セドロ-マツタケ菌糸」でできたシロは、マツタケのシロ独特の芳香を発し、菌と共生するセドロも良好に成長することを確認したという。
 同研究所は、「マツタケ栽培化研究に全く新しいアプローチを開拓した」としており、「ただちにセドロからマツタケができるわけではないが、さらに栽培化に最適な国内産樹種を見つけ出し、マツタケ栽培化研究に新たな道を切り開きたい」といっている。今後も栽培化に向けた研究を継続するとしている。

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