放射性セシウム濃度、飲料水基準の30分の1以下に
―福島県内の阿武隈川、下流に行くに従い濃度上昇
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は2月4日、福島県内の阿武隈川の放射性セシウム濃度をモニタリング調査したところ、本流・支流合わせて14か所の採取地点のいずれも飲料水の基準値の30分の1以下であったと発表した。産総研では県内の関係機関と連携を取ってモニタリングを今後も続け、放射性セシウムの環境動態評価や農作物への影響評価などの基盤情報の整備につなげたいとしている。
 調査は2012年9月半ばに福島県内の阿武隈川本流7地点、支流7地点の計14地点で実施、放射性セシウムが水に溶けてイオンになったいわゆる溶存態の放射性セシウム濃度と、川の懸濁物質に吸着した状態の懸濁態の濃度を調べた。
 その結果、本・支流の溶存態の放射性セシウム濃度は、1ℓ当たり0.010Bq(ベクレル)未満~0.128Bq、懸濁態の同濃度は0.003Bq未満~0.207Bqで、溶存態と懸濁態を合せた各地点の全放射性セシウム濃度は、最大で0.270Bqであった。この値は食品中の放射性物質の基準値(飲料水)10Bqの約30分の1以下と低かった。
 本流における全放射性セシウム濃度は、下流に行くに従い濃度の上昇が認められた。懸濁物質の粒径を3段階に分け、それぞれが吸着した放射性セシウムの濃度を2地点の試料について調べた調査では、一番大きな5.0㎛(1㎛は100万分の1m)以上の粒径の懸濁物質に95%以上の放射性セシウムが吸着していたことが認められたという。

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