（独）産業技術総合研究所と北興化学工業（株）は1月29日、反射防止フィルムの屈折率改善などに適したセリアナノ粒子を開発したと発表した。
　ポリマーの殻（シェル）の中に酸化セリウム（セリア）が入ったコアシェル構造の粒子で、粒径は約20nm（ナノメートル、1nmは10億分の1m）と小さく、しかもナノ粒子特有の凝集が起こりにくいのが特徴。この粒子を高濃度に樹脂に含有させることにより、高屈折率と透明性を兼ね備えた高性能光学フィルムの開発が期待できるという。
　セリアは屈折率が高いため、高屈折率樹脂フィルムへの活用が期待されている。産総研は数年前に水やアルコールへの分散性が非常に優れるセリアナノ粒子を開発したが、粒径が50nm程度と大きかったため、これを混ぜた樹脂フィルムは透明性に問題があった。
　研究チームは今回、合成時の温度や時間の制御、原料濃度の最適化などにより、粒径をこれまでの2分の1以下の20nm程度まで小さくすることに成功した。この粒子を高濃度に添加した樹脂フィルムを作製し特性を評価したところ、高屈折率と透明性に優れ、さらにUV遮蔽性能を持つことが確認されたという。
　産総研は北興化学工業と共同で量産化の研究開発を進めており、100g～1kg程度のサンプル提供が可能という。

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