筑波大学は1月30日、安価で入手容易なナトリウムを用いた大容量蓄電池を実現する見通しを得たと発表した。青い色素として知られるプルシアンブルーの類似体を電極材料に利用することで、リチウムイオン電池に近い大容量のナトリウムイオン電池が実現できる可能性を確認した。希少元素のリチウムを必要としないため、天候に左右されやすい太陽光発電など再生可能エネルギーの大量導入に欠かせない安価な電力貯蔵に道を開くと期待している。
筑波大数理物質系の守友浩教授は、プルシアンブルー類似体がジャングルジムのような立体構造を持っており、そのすき間にナトリウムイオンを高速で安定的に出し入れできることに注目。この性質を利用すれば、原理的には電気エネルギーを自由に蓄積・放出するナトリウムイオン電池が実現できるとして、実験的にその可能性を探った。
実験では、透明電極のインジウムスズ酸化物の表面に電気を蓄える活物質であるプルシアンブルー類似体を薄膜として付けて正電極とし、ナトリウム金属を負の電極とした。さらにこれらを容器内の電解液に漬けこんだ装置を試作、両電極間に電圧をかけて蓄電池としての基本性能を確かめた。
その結果、平均3.6Vという高い起電力と活物質1g当たり135mA/hという大容量で電気が蓄えられることがわかった。高性能蓄電池として知られるリチウムイオン電池の140mA/hに近い性能だ。また、充放電を100回繰り返した後の容量は、初期値の71%を維持し、蓄電池として高い性能を示すことも確認できた。
今回の成果について、守友浩教授は「正極材としてプルシアンブルー類似体が有望であることが分かり、安価で高性能な電池実現の可能性が示唆された」として、ナトリウムイオン電池の実現を目指す。
No.2013-4
2013年1月28日~2013年2月3日