「7月九州北部豪雨」は大量の水蒸気流入が原因
:気象研究所

 気象庁の気象研究所は7月23日、九州北部で11日から14日にかけて大雨が多発し、洪水や土砂による災害をもたらしたいわゆる「7月九州北部豪雨」の発生原因について発表した。東シナ海上で大気下層に大量に蓄積した水蒸気が強い南西風によって持続的に九州に流れ込み、風上で積乱雲が繰り返し発生して長さ50㎞ほどの横長の積乱雲群(線状降水帯)を形成、それが複数連なり停滞したことで大雨になったと分析している。
 12日午前中の熊本県阿蘇付近を中心とした大雨、14日午前中の福岡県から大分県にかけての大雨の発生場所は、天気図に示されている梅雨前線の南側100~20kmに位置していた。大雨と梅雨前線のこの位置関係は、過去の九州付近の大雨事例でよく見られるもので、梅雨前線帯では上昇流が存在し、水蒸気を上方に運んで上空に湿った領域、いわゆる“湿舌(しつぜつ)”を作る。南方から流入した空気は通常、この湿舌域(梅雨前線帯)で上昇してその北側に積乱雲を発生させるが、大量の水蒸気が流入すると湿舌域の南縁で積乱雲が発生、その位置で豪雨がみられる。
 今回の場合、積乱雲が風上で繰り返し発生する「バックビルディング」と呼ばれる現象が起きて線状降水帯が形成され、それが東西方向に複数並んで長さ100㎞を超える降水帯を作り出して長時間雨を降らせた。データ解析によると、東シナ海上で大気下層に大量の水蒸気が蓄積されていたことが判明、この水蒸気が強い南西風によって持続的に九州に運ばれたことが大雨の主要な要因であったとことが分かったという。

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