高エネルギー加速器研究機構(KEK)は7月23日、(株)日立製作所の協力を得て試作した超電導加速空洞「HIT-02号機」で、国内最高の加速勾配性能を達成したと発表した。 超電導加速空洞は、電子や陽電子のビームを加速する超電導材料製の空洞。この空洞にマイクロ波を送り込んで電場を作り電子や陽電子を加速する。 一方、加速勾配は、加速器の性能を表す指標のひとつで、粒子が一定の長さ(1m)を通過した時、受け取れるエネルギーのこと。 加速器の性能を向上させるには、高い加速勾配で加速器を運転する必要があり、それに応えられる超電導加速空洞の開発が求められている。現在、世界では、直線状の線形加速器で超高エネルギーの電子と陽電子を衝突させる次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を国際協力で開発するプロジェクトが進んでおり、線形加速器には1m当たり35MV(メガボルト、1MVは100万V)の加速勾配がだせる長さ約1mの超電導空洞を約16,000台設置する計画といわれている。 KEKと日立が試作した超電導加速空洞は、「TESLA(テスラ)タイプ」と呼ばれる実機と同等の空洞で、国際リニアコライダーの要求する加速勾配を大きく超える1m当たり41MVをつくば市(茨城)にあるKEKの試験施設で記録した。
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41MV/mの最高加速勾配性能を達成した超電導加速空洞「HIT-02号機」(提供:高エネルギー加速器研究機構) |
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