(独)産業技術総合研究所とサッポロビール(株)は7月24日、マウスを使った共同研究で、「SBL88」という乳酸菌にストレス性の睡眠障害を改善する効果があることを発見したと発表した。ヒトでも睡眠の質を向上させたりする効果が考えられるため、今後ヒトを対象とした研究に取り組むという。
SBL88乳酸菌は、サッポロビールが保有する生理活性の強い植物性の乳酸菌で、これまでに抗アレルギー性体質の改善機能や、飲酒に対する肝機能保護効果などが明らかにされている。
研究グループは今回、ストレス性睡眠障害への影響を調べた。実験は、マウスを3つの群に分け、第1群のマウスにはSBL88乳酸菌を0.5%混ぜた餌を4週間食べさせ、睡眠障害を誘発するストレス負荷を2週間にわたってかけ続けた後、回転輪でのマウスの活動量を測定した。第2群のマウスにはSBL88を加えていない通常食を与え、ストレス負荷は、第1群と同様にかけた。第3群のマウスは、通常食でストレス負荷もかけずに通常飼育した。これら3群についてそれぞれの活動量を比較した。
その結果、ストレスにより睡眠障害を起こした第2群のマウスは、睡眠時間帯に寝つきが悪く、活動時間帯の活動量は第1群、第3群に比べて低かった。それに対し、SBL88乳酸菌入りの餌を食べた第1群のマウスは、ストレス負荷のなかった第3群の通常飼育・通常食のマウスに比べ活動量は低下していたものの、第2群に比べるとその低下は抑制されていた。
また、SBL88を摂取した第1群のマウスは、睡眠障害が起こるとその発現が増大する「睡眠障害マーカー遺伝子」の発現抑制が認められ、遺伝子レベルでも睡眠障害改善の効果が認められたという。
SBL88乳酸菌は、普段の食生活で摂取でき、睡眠障害改善薬服用の副作用などから逃れられる可能性があることから、研究グループはヒトへの効果などを今後調べたいとしている。
No.2012-30
2012年7月23日~2012年7月29日