敗血症の発症に関与するタンパク質を発見
:科学技術振興機構/筑波大学

 (独)科学技術振興機構(JST)と筑波大学は7月23日、敗血症の発症に関与するタンパク質を発見したと発表した。
 敗血症は、細菌の感染で起こり、細菌の作る毒素が全身に広がって臓器不全、血圧低下、ショックなどの症状を引き起こす病気。日本では毎年38万人以上、米国では100万人以上が発症し、世界中で毎年100万人以上が死亡している。
 敗血症の細菌に感染すると、体内では免疫細胞の一種である肥満細胞がその感染をいち早く感知し、ただちに白血球の一種「顆粒球」を感染場所に動員して細菌を死滅させ、発症を抑制することが知られている。
 今回の発見は、筑波大医学医療系・渋谷彰教授らの研究グループが肥満細胞の細胞膜を構成する「MAIR-I」と呼ばれるタンパク質が顆粒球を動員する働きを抑えることにより、敗血症の発症が促進されることを見つけたもの。
 また、同時にMAIR-Iの働きを抑えた遺伝子欠損マウスでは、敗血症の発症が抑制され、生存率がそれまでの0%から40%にまでアップすることを突き止めた。
 敗血症は、手術に伴って起こるなど、その発症が予見される場合も多いことから予防法の確立が望まれている。JSTと筑波大は、今回の成果が革新的な敗血症治療薬開発につながるものと期待している。

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