ポスト・レアアース磁石開発へ
―文科省の「元素戦略プロジェクト」実施機関に
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は7月2日、文部科学省が今年度から開始する「元素戦略プロジェクト」の実施機関に選ばれたと発表した。
 文科省の元素戦略プロジェクトは、レアアース(希土類元素)、レアメタル(希少金属)などを用いない革新的な希少元素代替材料を開発・実用化して資源制約を克服しようと実施する新規研究開発プロジェクト。日本の産業競争力強化に直結する、磁石材料、触媒・電池材料、電子材料、構造材料の4領域を対象に実施する。
 物材機構は、そのうちの磁石材料の研究開発実施機関として産業技術総合研究所、東京大学など連携9機関と共同で応募していたもので、「元素戦略磁性材料研究拠点」としてポスト・レアアース永久磁石の開発に挑戦する。
 永久磁石は、ハイブリッド自動車、電気自動車といったハイテク製品から、各種の電気製品まで幅広い分野に使われ、ネオジムとジスプロシウムの両レアアースを使うネオジム磁石が高性能永久磁石の主流を占めている。しかし、日本はレアアース資源を海外に依存しているため、資源輸出国の政策やレアアース価格の高騰が大きな問題としてのしかかってきている。
 一方、永久磁石材料は、nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)領域の組織制御で特性が変化する材料だが、そのような超微細領域の磁気物性値や特性を決めるメカニズムの解明はまだなされていない。
 新たにスタートする「元素戦略磁性材料研究拠点」は、元素の役割を基礎物理に遡って解明することにより、ハイブリッド自動車の駆動モーターなどに使われている最高性能のレアアース永久磁石と同等の性能を持った新永久磁石を、希少元素を使わずに作ることを目指すとしている。

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