(独)森林総合研究所は5月10日、木材から生じるシックハウス症候群の原因物質の一つアセトアルデヒドの発生要因を解明したと発表した。
シックハウス症候群は、住宅の室内空気の汚染によって起きる病気のこと。1990年代に大きな社会問題となり、その原因物質として13の化学物質が挙げられている。アセトアルデヒドは、その一つで、木材にエタノールを塗ると人間の体内と同様に「アルコール脱水素酵素(ADH)」が働き、アセトアルデヒドが発生することが分かったという。
お酒を飲むと、体内のADHの働きでアルコール(エチルアルコール)分が酢酸へと分解されていく過程でアセトアルデヒドが生成する。木材も樹木として生きている間は、ADHを持っている。同研究所は、住宅資材として使われている木材中のADHの作用でエタノールからアセトアルデヒドが発生するとの仮説のもと、木材がどのような状態のときにその作用が働くのかアセトアルデヒドを簡便に捕捉できる測定法を開発して研究してきた。
その結果、エタノールによる木材からのアセトアルデヒド放散は、もともと木材中に存在するADHと、伐採後の加工過程で空気中から木材に付着した菌体のADHとの複合作用によって生じていることが判明したとしている。
No.2012-19
2012年5月7日~2012年5月13日