(独)農業・食品産業総合研究機構の東北農業研究センターは4月26日、麦の播種(はしゅ:種まき)に使われている大型の播種機「グレーンドリル」などを水稲の乾田直播(かんでん・ちょくは)に利用する技術を開発し、「乾田直播栽培技術マニュアル」を作成したと発表した。
乾田直播は、水を入れる前の田を耕して種籾(たねもみ)をまき、苗が根づいたら田に水を入れ水田にしてイネを育てる稲作方式。
今回の乾田直播栽培技術マニュアルは、グレーンドリルなどによる作業の高速化と直播適性品種とを組み合わせて、労働時間・機械コストを大幅に削減し、従来からの苗代(なわしろ)で育てた苗を水田に植えかえる移植栽培式の稲作と同等以上の収量が得られるようにしたもの。大規模面積での米・麦・大豆などの水田輪作が容易にできるようになるという。
岩手県花巻市の大規模経営農家で行った実証試験では、同機構の東北農業研究センターが開発した直播適性の高いイネの品種「萌えみのり」を使うことで10a(アール、1aは100㎡)当たり600kgの米が収穫され、米60kg当たりの生産コストを東北地方の平均値の55%程度にまで低減できたという。
このマニュアルは、東北農研のウェブサイト
http://www.nano.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/030716.html
からダウンロードできる。
同機構の東北農研では、同マニュアルによる播種作業などをより理解しやすくするビデオマニュアルを作成する予定といっている。
No.2012-17
2012年4月23日~2012年4月29日