(独)防災科学技術研究所と東京大学地震研究所は12月8日、九州の大分県と四国の愛媛県の間に位置する豊後水道(ぶんごすいどう)周辺域で、性質の異なる3種類の「スロー地震」が約6年に一度のペースで連動して発生していることを発見したと発表した。
通常の地震は、地下の断層が破壊し、高速でズレ動くことにより発生する。それに対し、断層がゆっくりと動くことによって生じる地震を「スロー地震」という。
今回の発見は、[1]深さ30~40kmで発生する深部低周波微動、[2]深さ30km付近で発生する「スロー・スリップ・イベント」と呼ばれる断層のズレ、[3]深さ5km付近で発生する超低周波地震、の3つの異なるスロー地震が2003年と2010年にプレート境界でいずれも連動して発生していたことを見つけたもの。
また、これらのスロー地震の発生場所は、1946年に和歌山県潮岬沖を震源として発生した海溝型巨大地震「南海地震」(マグニチュード8.0)の震源域の西側に隣接し、南北100km以上の範囲に分布していることも分かった。
こうしたことから防災研と東大地震研の研究陣は、「スロー地震活動が海溝型巨大地震の破壊域の広がりと準備過程に影響を与えている可能性が考えられる」と見ている。
この成果は、米国の科学雑誌「サイエンス」のオンライン版に掲載された。
No.2010-48
2010年12月6日~2010年12月12日