リンゴ栽培で使う農薬を50%以上削減
:東北農業研究センター/果樹研究所/岩手県農業研究センター

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の東北農業研究センターは12月6日、同機構の果樹研究所、岩手県農業研究センターと共同で、リンゴの栽培に使う農薬を50%以上削減することに成功し、その低農薬栽培マニュアルを作成したと発表した。
 リンゴの栽培では、多種多様な病害虫が発生する。このため、生育期には、10日間隔でさまざまな成分の病害虫防除薬剤が散布されており、環境や作業者への影響などの観点から農薬使用量の削減が求められている。
 東北農業研究センターなどは、「交信かく乱剤」と呼ばれる性フェロモン剤を使い、リンゴ園での現地試験によって農薬使用量を今の慣行栽培の半分以下に低減できることを実証した。
 性フェロモンは、虫が放出する一種の匂い物質。その性フェロモンの成分を人工合成して少しずつ揮発する特殊な資材に収めたものが交信かく乱剤。それをリンゴ園に設置して害虫の性フェロモン成分を園内に充満させ、害虫の雌雄が出会えないようにして繁殖を抑え、農薬散布量を減らすというもの。
 晩生品種のリンゴ「ふじ」を栽培している岩手県のリンゴ園で行った現地実証試験では、1年間に使用する農薬の成分回数(農薬に含まれる有効成分数に散布回数を掛けた値)が慣行栽培の43成分回数の半分以下の21成分回数に下がった。この結果から同センターでは、現在10日間隔で実施されている7月以降の殺菌剤散布を15日間隔にできると見ている。

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