(独)産業技術総合研究所は12月9日、青や緑のレーザー光を照射するとレーザー光の色の違いによってピンクになったり無色になったりする新しい無機材料を開発したと発表した。鉄などの金属元素を添加した「バリウム・マグネシウム・ケイ酸塩(BaMgSiO4)」を還元雰囲気中で調整した複合金属酸化物で、繰り返し色を変えられるという。今のところ実用性については未知数だが、将来は超高密度メモリーや書き換え可能なコピー用紙、ディスプレーなどへの応用も期待できるという。 光を照射すると色が変わるフォトクロミズム現象を示す無機材料はこれまでにもいくつも見つかっているが、新材料もその一種。今回の研究では、蛍光物質である複合金属酸化物を中心に材料探索を進める中で見つかった。 新材料に波長405nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の青いレーザー光を当てたところ、薄いピンク色になり、波長365nmの紫外光を当てると濃いピンク色に変わるなど、照射する光の波長で色の濃度を制御できることが分かった。 また、波長532nmの緑色のレーザー光を照射すると無色に戻るほか、これらの色の変化は繰り返し行うことができ、10回以上繰り返してもほとんど影響は表れないという。 フォトクロミズム現象を示す無機材料は、これまでほとんど可視光に応答しなかったほか、数回の光照射で元に戻らなくなるなど可逆性が乏しく、材料の色もほとんどが青色だったという。同研究所は、今後、超高密度メモリーやディスプレー材料としての可能性を実証するために新材料の薄膜化の研究に取り組む予定だ。 詳しくはこちら |