(独)農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業総合研究センターは10月20日、発酵飼料のロールベールを牛に無駄なく効率良く食べさせることができる簡便な新給餌装置を開発したと発表した。 水田の有効利用、飼料自給率の向上を目的に、水田を利用しての飼料用のイネや牧草作りが行われている。ロールベールは、ロールベールラップサイロとも呼ばれる飼料イネや牧草をポリエチレン製のラップ(包装材)で巻いて直径2m程度の円筒形(太鼓形)に梱包して発酵させた飼料のこと。 新給餌装置は、収穫した飼料用のイネなどをその場でロールベールにし、その場で牛に無駄なく食べさせられるようにしようと開発したもの。この装置を使えば、牧草が不足する晩秋から早春まで水田でロールベールを牛に食べさせ、餌不足を心配せず放牧できるようになると同センターでは期待している。 ロールベールをそのまま牛に食べさせると食べ散らかしなどにより20%以上の食べ残し量が発生する。 新給餌装置は、一種の柵で、ロールベールにこの装置を被せることにより、食べ散らかしや排泄物による汚染などによる無駄を減らす仕組み。実際の放牧に使用した結果、食べ残し量を1.7%に低減できたという。軽量(最軽量タイプで29kg)なので、人力で移動できる。 同センターでは、ロールベール生産の盛んな水田地帯で、中山間地域の畜産農家の牛を預かり、新給餌装置を使ってイネ発酵粗飼料と牧草を用いた牛の冬春放牧モデルの開発を今後行う予定という。 申請中の特許を含むこの新給餌装置の技術は、(株)大成工機(茨城・つくば市)に供与されることが決まっており、同社が製品化して販売する予定になっている。 詳しくはこちら |  |
新給餌装置を使った給餌風景(提供:中央農業総合研究センター) |
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