衛星使い地球全域の「森林・非森林分類図」を作成
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月21日、同機構の地球観測衛星「だいち」の取得データを用いて、世界で初めて地球陸域全体の10m分解能の画像を作成、さらにその画像の各地点が森林地域か否かを判別した「森林・非森林分類図」を作り、この分類図をホームページ(http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/guide/jforestmap_oct2010.htm)で公開したと発表した。
 JAXAでは、今後も継続的にこうした画像を作成し、森林の減少状況やバイオマス(生物資源)量の変化、二酸化炭素排出量などの把握に役立てたいとしている。
 「だいち」は、2006年1月に打ち上げた世界最大級の地球観測衛星で、高度約690kmの上空を一周約99分で周回しながら3種類のセンサーで地球全域を観測している。今回用いたのは、合成開口レーダー(PALSAR)と呼ばれるセンサーで取得したデータ。合成開口レーダーは、地球に向けてマイクロ波を放出し、その反射波を捉えて画像データを得るもので、光学式センサーが夜や雨天には観測できないのとは違って、昼夜、天候に関わりなくデータを取得でき、短期間に地球全域をカバーできる。
 JAXAは、PALSARのデータを情報処理して、分解能10mの全球画像を世界で初めて作成した。さらに、バイオマス量を1つの目安に各地点を森林域か非森林域かに分け、森林は緑色、非森林は黄色で色分けした分類図を作成した。この分類図画像を毎年作成して時間順に比較すれば森林の減少や劣化状況などが把握できる。
 JAXAでは、「だいち」による森林観測を続行すると共に、以前に打ち上げた地球資源衛星1号のデータ解析も行い、1990年代以降、全球規模で森林がどのように変化したのかを森林炭素量変化も含めて把握することを計画している。

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地球全域の「森林・非森林分類図」(2009年分)(提供:宇宙航空研究開発機構)