(独)農業・食品産業技術総合研究機構は7月15日、水稲の新品種2種を開発したと発表した。
アミロース(でん粉の一種)分が少なく味の良い低アミロース米の新品種「姫ごのみ」と、飼料用の「たちすずか」で、共に同機構の近畿中国四国農業研究センター(広島・福山市)が開発した。
普通のウルチ米は、アミロースを17~20%含む。それに対し、アミロース分が5~15%と低いのが低アミロース米で、粘り気が強いのが特徴。
新開発の「姫ごのみ」のアミロース含有率は、8.4%。粘り気が強く、味の良いおにぎりができるという。多収で、いもち病などの病害にも強く、瀬戸内市(岡山)で既に普及が始まっており、「平野部だけでなく中山間地域でも普及が見込まれる」と同機構は見ている。
もう一方の「たちすずか」は、サイレージ(発酵粗飼料)用の新品種。牛にとって消化の悪い籾(もみ)の量が少なく、消化の良い茎・葉の割合の高い飼料にうってつけの稲が得られる。
サイレージは、乳酸菌の働きで発酵させた飼料。「たちすずか」は、籾が既存品種の3分の1程度と少なく、倒れにくいのが特徴。縞葉枯病(ウイルス病の一種)に抵抗性を持たないなどの弱点はあるが、広島県、岡山県、愛媛県など中国・四国地方で普及に向けた取り組みが始まっている。
No.2010-27
2010年7月12日~2010年7月18日