(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月14日、小惑星「イトカワ」を探査して今年6月にカプセルの地表回収に成功した小惑星探査機「はやぶさ」の後継プロジェクトになる「はやぶさ2(仮称)プロジェクト」の概要を同日開かれた宇宙開発委員会に報告したと発表した。
「はやぶさ2」の基本設計は、「はやぶさ」と同じで、2014年に打ち上げて有機物の多い小惑星の探査を目指している。宇宙開発委は、同プロジェクトの是非を検討し、8月中に結論をまとめる予定。
「はやぶさ2」探査機本体の推進用イオンエンジンや、姿勢制御用の化学エンジンなどの基本設計は、先代と同じ。探査するのは、「はやぶさ」が岩石層の多い「S型」と呼ばれるタイプの小惑星「イトカワ」だったのに対し、「はやぶさ2」は有機物や含水鉱物に富んでいるといわれる「C型」と呼ばれるタイプの小惑星を探査する。タイプの異なる小惑星を探査し、データを比較できればそれだけ太陽系誕生の初期に遡ることができ、太陽系宇宙誕生の解明が進むと期待される。
「はやぶさ」同様に「はやぶさ2 」も光学カメラ、赤外線分光計、レーザー距離測定法などを使って小惑星の特性を調査するが、「はやぶさ2」では赤外線分光計の観測帯域を長波長側に変えて水の検出も可能にする。
これら機器によるリモート観測を終えた後「はやぶさ2」は、小惑星表面を近接観測。さらに、地下の物質を露出させるために衝突体を投下し、作られた人工クレーターで宇宙風化などの影響を受けていない新鮮な地下物質試料の採取を試みる計画。採取した試料は、帰還カプセルで地球に運び回収する。
No.2010-27
2010年7月12日~2010年7月18日