小惑星探査機「はやぶさ」が地球帰還軌道に乗る
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月27日、地球と火星の間を回っている小惑星「イトカワ」の科学的観測と岩石採集を行った小惑星探査機「はやぶさ」が地球周辺に帰る軌道に乗り、イオンエンジンの連続運転を停止したと発表した。「はやぶさ」は、現在、地球から約2,700万kmの地点を飛行中で、今後数回の軌道修正を行い、6月の「はやぶさ」地球周辺到着と、資料搭載カプセルの分離・回収を目指す。
 「はやぶさ」は、2003年5月19日、将来の本格的な小惑星資料持ち帰り探査に必須の工学技術などを実証するため、鹿児島県内之浦町(現・肝付町)の同機構鹿児島宇宙空間観測所から「M-V(ミュー・ファイブ)」型ロケット5号機で打ち上げられた。2005年9月に「イトカワ」とランデブー、高度3~20kmから4種類の観測機器で「イトカワ」の形状、地形、表面高度分布、反射率、鉱物組成、重力、主要元素組成などを観測した。
 「はやぶさ」は、小型カメラ搭載の探査ロボット「ミネルバ」を「イトカワ」に投下するのには失敗したが、2005年11月20日と26日の2回、長さ約500mと推定されているサツマイモのような形をした「イトカワ」の地表に着陸、初の小惑星の砂や岩石の採取を試みた。
 今年6月に「はやぶさ」の資料カプセルが無事回収されれば、その成果が分かる。
 「イトカワ」の探査を終えた「はやぶさ」は、2005年11月、「イトカワ」を離れた直後に姿勢制御用エンジンの燃料漏れなど、深刻なトラブルが続き、地球帰還に向けて本格的巡航を開始したのは2007年4月になってしまった。7年かかった探査機「はやぶさ」の「イトカワ」探査もようやくゴールが見えてきた。
 「イトカワ」の岩石が入っている可能性がある資料搭載カプセルは、オーストラリア南部の砂漠にパラシュートを使って落下させて回収する計画だが、探査機本体はカプセル分離後、地球大気圏に突入して燃え尽きる。

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小惑星探査機「はやぶさ」(提供:宇宙航空研究開発機構)