日本実験棟「きぼう」でのタンパク質結晶生成実験の実施状況を宇宙開発委に報告:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月24日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で続けているタンパク質結晶生成実験の実施状況を同日開かれた宇宙開発委員会に報告した。
 JAXAは、昨年から始めたこの実験を2012年まで半年毎に計6回実施する計画で、第1回実験は既に終了し、現在第2回実験を実施中。第3回実験は、今年8月打ち上げの予定で、搭載タンパク質を募集している。実験試料のISSへの輸送と回収は、ロシア宇宙船が行なっている。
 報告の要旨は、次の通り。

<第1回実験>
打ち上げ2009年7月24日
回収2010年10月11日(実験期間=約2.5カ月)
搭載タンパク質47種(国内32種/ロシア24種/マレーシア5種)
結晶生成の成果国内21種(7種)/ロシア7種類(6種)/マレーシア3種(1種)
括弧内は、生成された結晶で良好な回析データが得られた数。
運用結果と課題[1]タンパク質結晶生成装置に一時的トラブルが発生したが、実験への影響はなかった。
  [2]回収時にソユーズ宇宙船内の温度上昇で結晶溶解が3種、回析データ劣化が4種あったので、次の回収時には搭載場所などを変更する。
<第2回実験>
打ち上げ2010年2月3日。2月5日から実験開始。
回収2010年5月中旬以降(現在ISS滞在中の野口宇宙飛行士と共に帰還予定)
主な搭載タンパク質[1]医薬関連=睡眠調節やアルツハイマー病関連、筋ジストロフィー関連、生体内薬物代謝関連、インフルエンザウイルス関連など。
  [2]環境・エネルギー関連=セルロース分解酵素(複合体)、ナイロンオリゴマー分解酵素(変異体)。
  [3]生命現象の解明=赤血球中の酸素透過関連(膜タンパク質)、細胞膜内外の分泌関連(膜タンパク質)。
<第3回実験>
打ち上げ予定2010年8月31日
募集中のテーマ概要[1]画期的な医薬品開発に使えるタンパク質など、社会のニーズに繋がる成果創出が期待できるタンパク質。
  [2]超大型分子タンパク質結晶生成など、先端的技術開発に貢献するタンパ ク質
  [3]産業応用や科学技術への寄与が期待できる新しいタンパク質

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