下水中に含まれる新型インフルエンザウイルスの測定結果を発表:国土技術政策総合研究所

 国土交通省の国土技術政策総合研究所は2月26日、下水中に含まれる新型インフルエンザウイルスの測定結果を発表した。
 新型インフルエンザは、主に気管支系に感染し、患者の数~20数%が下痢症状を示すことが国立感染症研究所などの疫学的調査で判明しており、下痢症の人から排出された糞便中の新型インフルエンザウイルスが下水処理場に流入することが分かっている。
 しかし、下水中の新型インフルエンザウイルスに関する調査報告は国内になく、今回が初めて。
 調査は、国内2か所の下水処理場で、新型インフルエンザの流行がピークを迎えていた2009年10月から12月に合計6回実施した。その結果、流行のピーク期でも下水中の新型インフルエンザウイルスゲノムの濃度は、極めて低いことが判明。「下水道を経由した新型インフルエンザウイルスの感染リスクは、ほぼ皆無であると考えられる」としている。
 新型インフルエンザ患者の鼻水を精製水で10~100倍程度希釈した試料のウイルスゲノム(ウイルスの遺伝子)の濃度が1ml当たり100万個相当なのに対し、下水処理場への流入水中の濃度は最大で79個相当と極めて低く、放流水中からは検出されなかった。
 こうしたことから、同研究所は「ウイルス濃度が低い下水の飛沫によって一般人が新型インフルエンザウイルスに暴露される可能性は極めて低い」と見ている。

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