(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月13日、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の今後の実験予定を同日開かれた宇宙開発委員会に報告した。
「きずな」は、「いつでも、どこでも、誰でも」必要な情報が得られるインターネット社会の構築を目指し、政府のIT(情報技術)戦略本部の「e-Japan重点計画」に基づき同機構が開発した大容量データ通信の技術実証衛星。2008年2月23日に同機構の種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から「H-ⅡA」ロケットで高度約36,000kmの静止軌道に打ち上げられ、これまでに深海探査機が捉えた映像の伝送実験、太平洋上の父島(東京)の小笠原村村民を対象にしたブロードバンド実利用実証実験、フィリピンのマヨン火山の噴火画像の伝送、などを行ってきた。
今回、宇宙開発委員会に報告したのは、来年度の実験予定。「きずな」を使い岩手医科大学と共同で遠隔病理診断実験を、またモンゴルで徳島大学、自治医科大学、首都大学東京、モンゴル健康科学大学などと共に遠隔医療・教育の実験を行う。
岩手医科大学と行う遠隔病理診断実験は、組織細胞の顕微鏡画像を同大学(岩手・盛岡)から遠隔地の病理医に伝送してリアルタイム診断を実証するもので、同大学と琉球大学(沖縄)などとを「きずな」で結び病理データをやり取りする。
一方、モンゴルでの実験は、昨年7月の日本・モンゴル首脳会談でモンゴル側から要請されたもので、「きずな」経由で高画質な映像伝送を行い、遠隔医療、遠隔教育の実現に役立てる。
No.2010-2
2010年1月11日~2010年1月17日