放射性物質吸着材料のデータベースを整備
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は12月7日、セシウムなどの放射性物質を吸着する材料のデータベースを整備したと発表した。収集したデータは、同機構が提供している「物質・材料データベース(通称MatNavi)」の中に新たな枠組みを設けて収録、12月13日から公開した。
 福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性物質の除去・回収では、主に天然鉱物を吸着材に用いる方法が検討されている。ただ、天然鉱物は、同じ物質名のものであっても産地や組成によって吸着能力に差があり、放射性物質の濃度や使用する環境の酸性度などの条件によっても性能が大きく変化する。このため、現場の状況に合わせて最適な吸着材を選ぶ必要があるが、数多くの吸着材について、その吸着能力を網羅的に収載したデータベースは世界的にも存在していない。
 そこで、物材機構は、産地、化学組成などを異にする約60種の候補物質を対象に吸着実験を実施し、約800点の基礎的データを収集した。調べたのは、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素の吸着材候補物質で、産地の異なる各種ゼオライト、スメクタイト、雲母類、鉄系鉱物をはじめとした各吸着材と、各種の濃度の塩化セシウム水溶液、塩化ストロンチウム、ヨウ素水溶液とをそれぞれ混合、撹拌、固液分離し、液相中のセシウム濃度、ストロンチウム濃度、ヨウ素濃度を測定するという方法で吸着データを取得した。
 物材機構は、今回のデータベース整備により、汚染場所、汚染状況に応じた有効で効率的な除染方法を選択できるようになるため、効果的な除染・回収に役立つとしている。

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