(独)農業・食品産業技術総合研究機構は11月25日、アルカリ溶液で処理した米粉は米粉食品の加工に向いており、国産小麦粉とブレンドすると、高価な輸入グルテン(タンパク質の一種)を使わずに良質な米粉食品を製造できることを確認したと発表した。同機構北海道農業研究センターの成果で、米粉製品の需要拡大に貢献できそうだという。
コメの消費拡大などを目指して米粉食品の開発が進んでいるが、米粉を大量に配合する米粉パンなどの加工では、生地の弱さを補うために小麦から得られるグルテンを添加するのが一般的。しかし、小麦グルテンは、かなり高価で大半を輸入品に頼っていることから、良質な米粉食品をグルテン無添加で作れるようにすることが課題の一つとされている。
北海道農研センターでは、米粉の様々な製粉方法を検討したところ、でんぷんの一種であるアミロースの含有率が20~25%のウルチ米をアルカリ溶液に浸漬した後、電動石臼で湿式製粉すると、従来の方法で製粉した米粉より損傷でんぷんが少なく、粒度が細かい米粉が得られ、パンや洋菓子などへの加工適性が高いことを見出した。
さらに、パン、麺、洋菓子などの用途に合わせ、北海道で栽培されている小麦品種から適切なものを選んでその小麦粉と新開発の米粉とをブレンドしたところ、グルテン無添加で商品価値の高い米粉食品が製造できることが分かったという。
既に北海道内の複数企業が新開発の米粉を使用した100%北海道産ブレンド粉や、米粉パン、洋菓子の販売に取り組んでいるという。アルカリ処理した米粉は、様々な食品に加工し易いため、米粉を利用した食品開発の進展が期待できるとしている。
No.2011-47
2011年11月21日~2011年11月27日