生分解性プラスチックを短時間で分解する酵素の大量生産技術を開発
:農業環境技術研究所

 (独)農業環境技術研究所は11月25日、イネとオオムギの葉に生息する微生物から、生分解性プラスチック(生プラ)を効率良く分解する酵素を大量生産する技術開発に成功したと発表した。
 生プラ製の農業用フィルム表面に、この酵素液を散布すると、フィルムは急速に劣化し、半日ほどで穴があく。更に、市販の吸水性ポリマーを併用すると、2時間あまりで自然に穴があき、翌日にはフィルム表面全体に亀裂が生じるほどで、今後予想される使用済みの様々な生プラ製品などを短時間で分解処分するのに役立つと期待される。
 プラスチック製品は、今や人間の生活に欠かせない素材になっているが、使用後、ゴミになると、かさばり、分解しないのが問題で、回収労力とゴミの量を減らすために一部では微生物の働きで分解する生プラが使われ始めている。
 農業用フィルムには、一般にポリエチレンが使われ、国内消費量は年間45,000tほど。その農業用の生プラ製フィルムの普及率は、まだ数%に過ぎないが、今後、使用拡大が予測されることから、同研究所は微生物の酵素を利用した生プラ分解促進の研究に取り組んできた。
 その中で、イネやオオムギの表面で生息する常在菌の中に分解菌が多くいることを発見、強力な分解菌を選んで酵素を多量生産し、使用済み生プラを農業現場で素早く分解する手法を開発した。
 この分解酵素生産で、分解菌培地に安価で入手し易い糖の一種のキシロースを加えると、分解酵素を大量に分泌するようになることを見つけたのが役立った。毎日一定量の酵素液を回収して新しい培地を加える連続培養の採用により酵素の生産効率は、初期の三角フラスコ培養時代の4万倍に達しているという。

詳しくはこちら