酪農排水を河川放流できるレベルにまで浄化するシステムを開発:農業・食品産業技術総合研究機構/北海道大学など

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は11月16日、北海道大学、(株)たすく、道立根釧農業試験場、遠別町と共同で、酪農排水を河川に放流できるレベルにまで浄化できるシステムを開発したと発表した。
 酪農家の搾乳室からは、糞尿や牛乳などの混ざった高濃度の有機排水(酪農パーラー排水)が出る。各酪農家からの排出量が1日50tを超えないため法的な規制対象にはなっていないが、そのまま放流すると河川や地下水の汚染源になることから適切な処理が求められている。
 新システムを同機構では、「寒地でも低コストかつ省力的に高濃度汚水を通年処理できる点で世界初」と位置づけており、北海道での冬季を含めた通年処理を可能にした。
 根室管内の別海町、留萌管内の遠別町で行った現地試験では、酪農パーラー排水中の有機物を9割以上、窒素やリンを6~8割低減できた。
 コスト的にも優れ、初期投資が既存の排水処理法の半額未満で済み、ランニングコストを5分の1未満にできるという。
 既に北海道など5カ所で試験導入が行われており、環境保全と経済的な畜産経営の両立に貢献する新技術として普及・実用化が期待される。

詳しくはこちら