小惑星探査機「はやぶさ」の故障したエンジンの機能回復に成功:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月19日、4台のイオンエンジンのうち3台までが機能停止に陥り、小惑星「イトカワ」からの地球帰還が心配されている惑星探査機「はやぶさ」の対策として、停止していた3台の内の2台のエンジンを組合せて1台分のエンジン推力を得るのに成功したと発表した。これにより、計画通り来年6月の地球帰還を目指すことになった。
 「はやぶさ」は、惑星からのサンプル持ち帰り技術の実証を目指している重さ約510kgの探査機で、2003年5月に同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島)から「M-V」ロケット5号機で打ち上げた。打ち上げ直後に気体のキセノンを燃料とするイオンエンジンの1台がトラブルでストップしたが、2005年9月に地球から約3億km離れた位置で小惑星「イトカワ」とランデブー。同年11月に同惑星に着陸した。
 2007年4月に地球帰還に向けての飛行を開始したが、別の1つのエンジンの部品が劣化して運用を中止。その後は、残る2つのエンジンを交互に運用して飛行していたが、今年11月4日に3つ目のエンジンの故障が判明した。
 このため、満足に使えるエンジン1つだけでは推力が足りず、「はやぶさ」の地球帰還が危ぶまれる事態になった。このピンチに直面して同機構は、故障したエンジンのうちで早い段階で運用を中止した2台のエンジンの部品を組み合わせ、2台合わせて1台のエンジン相当の推進力を得ることに成功したもの。
 同機構は、慎重な運用を続けてこの状況を維持できれば「はやぶさ」の来年6月の地球帰還は可能とみている。

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地球を目指す「はやぶさ」の想像図(提供:宇宙航空研究開発機構)