錠剤型微粉末活性炭による水浄化技術を開発
:農業環境技術研究所/国立環境研究所など

 (独)農業環境技術研究所は11月19日、(独)国立環境研究所、東京都環境科学研究所、東京シンコール(株)と共同で、有害化学物質の吸着性が強い微粉末の活性炭をタブレット(錠剤)化して、簡単・迅速・安全に水を浄化する新技術を開発したと発表した。
 この錠剤は、「微粉末活性炭タブレット」といい、粉じんが舞い上がらず、水底に沈んでから短時間で水中に分散して水中の有害化学物質などを吸着するので、農業用水、池、井戸、工業排水などへの応用が期待される。
 石炭、オガ屑、ヤシ穀などを高温で焼いた細穴の多い微粉末活性炭は、有害な有機化学物質などの吸着性に優れているが、微粉末なため粉じんが舞いやすく、水面に浮かんで流れてしまうのが難だった。
 そこで農環研などの研究陣は、その対策として様々な形や大きさにできる微粉末活性炭のタブレット化に挑み、実現した。錠剤化した微粉末活性炭は、底に沈んでから10~20秒で水中に分散するが、この時間は他の成分を加えたり、形と大きさの調節で制御できる。
 実験では、濃度0.05ppm(1ppmは100万分の1)の水中有害化学物質の約80~100%を吸着、その性能は半年以上持続した。
 この錠剤は、CO2(二酸化炭素)を発生する発泡剤を使っていないため環境への影響も少ない。研究陣は、さらに有害な重金属類(カドミウム、クロム、鉛)やヒ素などを強く吸着する素材を錠剤に混ぜることで水中の有害な有機化学物質と重金属類を同時に吸着する手法を開発中で、活性炭の臭い成分を吸収する性質を農業・畜産排水などに適用することを検討している。
 また、災害時などの飲料水確保への応用研究も、海外の研究機関と共同で進めている。
 微粉末活性炭タブレットは、東京シンコールが利用目的に応じた受注生産の形で来春から国内販売する予定。

詳しくはこちら

新開発の微粉末活性炭タブレット(提供:農業環境技術研究所)