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タマネギで認知機能改善―1日半玉分で効果:農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2021年5月26日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構と北海道情報大学と岐阜大学の研究グループは5月26日、タマネギに含まれるポリフェノールの一種であるケルセチンが加齢に伴う認知機能の低下を防ぐ効果があることを確認したと発表した。ケルセチン含有量が異なるタマネギを5カ月間食べ続けた高齢者の認知機能の変化を調べた結果、含有量の多いタマネギを食べた人ほど認知機能がより高まることが分かった。

 研究では60~80歳の健康な男女70人を対象に、まずケルセチン含有量が異なるタマネギの粉末11g(生のタマネギ約半玉分120gに相当)を24週間にわたって毎日食べてもらった。ケルセチンにして50mgに相当する量だ。そのうえで被験者に一般的な認知機能検査法であるミニメンタルステート検査を受けてもらうとともに、認知機能の低下と関連するとされる抑うつ状態についても調べた。

 その結果、ケルセチンを多く含むタマネギを食べた人は、ケルセチンを含まないタマネギを食べた人よりも認知機能検査の点数がより大きく増えていた。また、iPadを用いた脳機能評価法「CADi2」で抑うつ状態について調べたところ、ケルセチンを多く含むタマネギを食べた人ほど大きく改善していることが確認できた。

 研究グループは「日常の食事でとるタマネギが、加齢に伴い低下する認知機能の維持に役立つ可能性を示している」と話している。今後は生鮮食品のタマネギが健康の維持・増進に役立つと表示できるよう機能性食品の届け出を目指す。