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皮ごと食べられる赤色ブドウの新品種「サニーハート」を開発―緑色の「シャインマスカット」と肩を並べるのを見込む:農業・食品産業技術総合研究機構

(2025年6月18日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門の研究グループは6月18日、皮ごと食べられる赤色ブドウの新品種「サニーハート」を育成したと発表した。渋みがなく、糖度が高く、果肉が硬めでかみ切りきりやすい食感をもち、味は良好。既存の「サニーマスカット」や「巨峰」と肩を並べる人気ブドウになるのを見込んでいる。

 最近のブドウの品種では、食味が良く皮ごと食べられるシャインマスカットが好評だという。これにあやかって皮ごと食べられ、シャインマスカットとは外観や食味の異なる新品種の開発が求められていた。

 研究グループは、食味が良好でかみ切り易い果肉を持つ系統「626−84」と、シャインマスカットを2003年に交雑し、得られた実生の中から狙いに近い選抜を繰り返し、2025年3月に品種登録した。収穫期は8月下旬から9月上旬で巨峰などより遅い。

 果汁糖度は約20%と安芸クイーンや巨峰より高い。酸味は低く、マスカット香のような花の香りがあり、これまでの品種とは異なる独自の風味をもつ。栽培も全国で可能になる。

果皮が太陽を思わせる赤色で、顆粒の形がハート型を連想させることからサニーハートと名付けられた。 

 ブドウの皮の色は主に緑色、黒色、赤色に大別される。このうちシャインマスカットの緑色、巨峰やピオーネの黒色が大きな割合を占めていた。

 糖度が高く、皮ごと食べられ、食味が良好なことから、店頭ではシャインマスカットなどとセットで売り出すことで、違った食味や風味を比較しながら楽しめる販売を狙っている。

「サニーハート」の果実 ©農研機構