[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

トピックスつくばサイエンスニュース

中年期の身体機能維持―人と一緒にスポーツ楽しむのが効果的:筑波大学

(2016年10月28日発表)

 筑波大学は10月28日、中年期に仲間と一緒に運動・スポーツを楽しんでいる人は日常生活に必要な身体機能が5年後になっても衰えにくいことがわかったと発表した。高齢期を元気に過ごせるよう健康寿命を延ばすことが社会的課題になる中で、中年期に職場や地域で仲間と一緒にスポーツを楽しめるようにするプログラムの開発や環境整備の重要性が裏付けられたとしている。

 筑波大体育系の武田文教授らの研究グループが、2005年と2010年に全国で実施されたた厚生労働省の第1回および第6回「中高年者縦断調査」による2万2,770人分のデータを分析。50~59歳の中年者の余暇活動や社会活動(趣味・教養、運動・スポーツ、地域行事など)が5年後の日常生活動作にどのような影響を及ぼすかを調べた。

 その結果、男女とも5年後の日常生活動作に対して中年期の運動・スポーツが統計的に見て明らかにいい影響を与えていることがわかった。女性については、趣味・教養を楽しむことも5年後の日常生活動作に支障が出るリスクを下げていた。一方で、子育て支援や高齢者支援の活動は、男女とも5年後の日常生活動作の維持に必ずしも効果的でないこともわかった。

 趣味・教養や人と一緒の運動・スポーツなどの余暇活動が中年者のメンタルヘルスの維持に有効なことはこれまでも確認されていた。しかし、身体機能の維持に効果があることを、調査データをもとに明らかにしたのは今回が初めて。

 研究グループは「一人ではなく、人と一緒に運動・スポーツをすることが、高齢期に入る前の中年者の心身両面の健康を良好に保つ」と話している。