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大麦新品種「ゆきみ六条」で焼酎やクッキーを開発:農業・食品産業技術総合研究機構/新潟薬科大学ほか

(2016年7月29日発表)

(国)農業・食品産業技術総合研究機構と新潟薬科大学は7月29日、北陸地方などの寒冷地、多雪地向けに新品種として開発した大麦「ゆきみ六条」が、香りの強い焼酎のほかにクッキーやケーキなどの粉製品にもよく合うことを見つけ、酒造会社や福祉団体と共に商品開発に成功したと発表した。

  北陸地方ではこれまで「六条大麦」が主に生産され麦飯用に使われてきたものの、焼酎醸造などの新規用途の開発は難しいとされた。そこで農研機構が育成した「ゆきみ六条」(北陸皮50号)を原料に、新潟薬科大学が焼酎に適した酵母を探索し、発酵能力と風味の優れた天然酵母を発見した。

 アルコールの素になるデンプン価が高く、もろみの純アルコール取得量は多品種と同等以上でエキス分が多かった。これを原料にした麦焼酎は、香りが強く、味、総合評価も優れているとされた。

 試作品で高い評価を得たことから、吟醸香をもつ「銀ラベル」、カシ樽で半年間熟成させた「金ラベル」の2品種を市販した。また、粒径の細かい大麦粉を作りやすいことに着目し、障がい者福祉施設の親和福祉会と共にクッキーやケーキなどの製造を始めた。

 生産者、障がい者、食品メーカーと大学、行政による新たな「ゆきみ六条」連携ビジネスが動き出した。新鮮な地元野菜や乳畜産物と組み合わせたケーキ、パンのほかに、イタリアンレストランでの大麦リゾットなどの商品開発も進んでいる。