ゴマに含まれる「セサミン」を分解する細菌を見つける―より強い抗酸化活性示す物質に変える酵素を発見:筑波大学
(2016年7月28日発表)
筑波大学は7月28日、食用のゴマに含まれる生理活性物質のセサミンを分解する細菌を自然界から見つけると共に、セサミンをより強い抗酸化活性を示す物質に変換する酵素を発見したと発表した。セサミンを分解する細菌を自然界から見つけたのは、世界でも初めてという。
ゴマは、栄養価の高い食品として古くから使われ、日本では年間約16万tあまりがゴマ油の生産などに消費されている。
そのゴマに多く含まれているセサミンには、活性酸素の働きを抑える抗酸化活性があり、老化を防ぐアンチエイジング効果や、悪玉コレステロールの増加を防ぐ効果などがあるとされている。
また、抗酸化活性物質の多くが水溶性で血液に溶けてしまい肝臓まで届きにくいのに対し、セサミンはきちんと肝臓まで届いて酵素によってより強い活性を示すセサミンモノカテコール、セサミンジカテコールに変換される。
セサミンが多く含まれているのは、ゴマの種子の部分で、本体が枯れて地面に落ちるとそこに生息している微生物によって中にふくまれるセサミンが分解されるとみられている。しかし、これまでに報告されているセサミンを分解する微生物としては、アスペルギルス属のカビ1種があるだけで、分解酵素や遺伝子については全く分かっていない。
そこで、研究グループは、セサミンを分解する微生物を広く自然界から探し出し分解経路や遺伝子を明らかにすることを目指した。
その結果、セサミンを分解する細菌を見つけると共に、セサミンを有用な抗酸化活性物質に変換する酵素を発見した。
見つけた細菌は、放線菌に属すシノモナス属の1種で、「セサミンを分解する細菌の自然界からの同定は世界初」と研究グループはいっている。
研究グループは、発見した酵素を「SesA」と命名した。
このセサミンを分解する酵素は、遺伝子組み換えした大腸菌を使って大量に作れることも確認している。
研究グループは、SesA酵素を使って温和な条件のもとでセサミンからセサミンより強い抗酸化活性を示すセサミンモノカテコールとセサミンジカテコールが合成できる系を構築できたといっている。