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タマネギ成分に認知機能維持―文章表現の障害予防も:岐阜大学/農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2023年7月26日発表)

 岐阜大学と(国)農業・食品産業技術総合研究機構、北海道情報大学は7月26日、タマネギに多く含まれる成分「ケルセチン」が認知症の発症前後に現れる「単語が思い出せない」などの文章表現に関する障害の予防に役立つ可能性があると発表した。軽度認知障害及び発症早期の認知症の被験者19人にケルセチン含有量の異なるタマネギ粉末を食べてもらう比較試験を実施して明らかにした。

 ケルセチンはタマネギのほかソバや柑橘類などにも含まれる黄色い色素。抗酸化作用や抗炎症作用などが知られており、食生活に基づく行動心理症状や認知機能低下の軽減に役立つと期待されている。

 研究グループは今回、岐阜大学で軽度認知障害と発症初期のアルツハイマー病と診断された被験者19人を対象にケルセチンの効果を調べる試験を試みた。被験者を2グループに分け、一方にはケルセチンを多く含むタマネギ粉末を、他方には含まない粉末を12週間にわたって毎日11g(ケルセチンとしては50mg)摂取してもらった。試験の前後に認知機能の判断で広く使われている「ミニメンタルステート検査」を実施した。

 その結果、ケルセチンを多く含むタマネギ粉末を摂取した人は、ケルセチンを含まないタマネギ粉末を摂取した人に比べて文章記述の点数が明らかに高かった。さらに文章中の単語を分析すると、摂取グループは「よい」「楽しい」などの前向きな表現を示す形容詞が増え、単語のつながりのある記述が増えていることが分かった。

 これらの結果から、研究グループは「ケルセチンを多く含むタマネギの認知機能や前向きの気持ちの維持への作用が、加齢のみならず認知機能低下が始まった状態でも役立つことが示唆された」と話している。