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全国地磁気情報を5年ぶりに改定、公表:国土地理院

(2016年12月1日発表)

 国土交通省の国土地理院は12月1日、全国の地磁気情報を表した「磁気図2015.0年値」を5年ぶりに改定し、公表した。国土地理院のホームページで閲覧が可能で、その電子データをダウンロードすることによって、GIS(地理情報システム)ソフトウェアやスマートフォンの登山アプリで利用することで、登山などの地図がより使いやすくなる。

  地磁気とは地球が持つ磁石の性質(磁場)で、主に地球内部の鉄成分の流体運動によって生じるとされる。方位磁石のN極が北を指すことから日常的に利用されている。

 地震や火山活動、時には地球外の太陽から飛んでくる荷電粒子などによっても影響を受けるといわれ、主磁場は数年から数百年の時間で変化している。

 このため、常に方位磁石が指す方向は一定ではなく、地図の北からズレており、このズレを「偏角」と呼ぶ。その程度は場所や時間によっても変わってくる。

 現在の日本周辺の偏角は平均して西向きに約8度のズレが観測されているが、約350年前の江戸時代には逆に東向きに約8度ズレていたことが確かめられている。

 こうした偏角の情報を正確に把握しないと、登山の際に地図の向きと方位磁石とが合わずに道に迷う恐れが出る。また飛行機の航路の決定や、ビルや住宅を建てるときの日影制限を決める際にも使われる大切な情報でもある。

 国土地理院は60年以上にわたり全国の地磁気を観測してきた。今回公表した「2015.0値」は2015年1月1日の地磁気成分の分布図で、最新の正確な情報となっており、地図がより安全に使いやすくなるとしている。