[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

トピックスつくばサイエンスニュース

蘇った1億年前の微生物―海底堆積物から発見:海洋研究開発機構/産業技術総合研究所ほか

(2020年7月29日発表)

 (国)海洋研究開発機構と(国)産業技術総合研究所などの研究グループは7月29日、恐竜が繁栄していた白亜紀の微生物が南太平洋の深海底で生き延びていたと発表した。水深数千mの海底地層から採取した約1億年前の堆積物に酸素や栄養を送り込んだところ、閉じ込められていた微生物が増殖を始めた。今後はこれほど超長期にわたって生き延びることを可能にした微生物のサバイバル能力や、その進化のナゾ解明に取り組みたいとしている。

 研究グループには、海洋研と産総研のほか、米ロードアイランド大学、高知大学、(株)マリン・ワーク・ジャパンが参加、海底下の生命探査を目的に2010年10月から12月まで海底地層を調査した。

 調査対象にしたのは、南米とニュージーランドの間で海流が大きな円を描くように流れる海域「南太平洋環流域」。陸から遠く離れた外洋で供給されるミネラルが不足し、海底堆積物中の有機物も少ないことが知られている海域で、水深3,740~5,695mの海底7カ所の地層堆積物を採取した。

 研究グループは、この堆積物中に微生物がいるかどうかを調べるため、21日~1年半にわたって栄養分となるグルコースや酢酸、アンモニアなど5種類の物質と酸素を堆積物にしみ込ませて培養を試みた。その結果、1億150万年前に海底に堆積した地層試料においても最高で99.1%の微生物が増殖を始め、蘇らせることに成功した。ただ、酸素がない環境では増殖は見られず、深海底地層という低酸素領域ではあっても生育に酸素を必要とする好気性微生物のみが生き延びていたと、研究グループはみている。

 さらに1億年の間、超低栄養環境でどのように生き延びたのかを調べるため、研究グループはDNA解析も試みた。その結果、微生物の長期生存形態として知られる胞子のような休眠する微生物種はほとんど見られなかった。