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大陸生成のナゾ解明―西之島の噴火が再現していた:海洋研究開発機構/産業技術総合研究所

(2018年11月12日発表)

 (国)海洋研究開発機構と(国)産業技術総合研究所は1112日、5年前に小笠原諸島の西之島で起きた噴火が地球表面における大陸生成の様子を再現していると発表した。溶岩を分析し結果、大陸の生成に欠かせない安山岩質のマグマが海底から噴出したことを確認し再現仮説を実証した。海底が玄武岩でできた海洋に覆われていた地球で、なぜ安山岩でできた大陸が誕生したかはこれまで未解明だった。

 大陸の平均的な組成は安山岩だが、海洋底は玄武岩で形成されている。そのため、もともと海洋で覆われていた地球で安山岩を主とする大陸がなぜ誕生したかは、地球科学上の大きなナゾとされていた。

 西之島は水深3,000mからそびえ立つ巨大な海底火山の山頂部にあたる。海洋開発機構と産総研のほかニュージーランドのカンタベリー大学で構成する研究チームは、この島がどのようにしてできたかを調べるため、溶岩を採取して詳しく分析した。

 その結果、西之島海底火山の本体は安山岩だったが、周辺海域の海底から丘のように盛り上がった小海丘の溶岩は玄武岩でできていることを突き止めた。このため海底下のマントルが部分的に溶解して最初に生じたマグマの組成が、玄武岩質から安山岩質へと時代とともに変化したものであることが分かった。

 さらに、西之島を形成した安山岩マグマの成因を明らかにするために海底で急冷された溶岩を調べた。分析によると、水中で噴出した溶岩は急冷されために、もとの鉱物の組み合わせと初期に結晶になったかんらん石を含んでいた。この組成から西之島直下のマントルでのマグマのでき方や、マントルで直接安山岩が生成されるにはマントルを覆う地殻が薄くマントルが地下の浅い場所にあることが必要なことなどが分かった。

 大陸を形成する安山岩質のマグマが海底下のマントルで直接生まれているという仮説については、研究チームが2年前に提唱していたが、今回初めてその証拠をつかんだ。

 研究チームは「西之島のような近くの薄い海洋島弧でのみ、大陸の材料である安山岩がマントルで生成されることは、これまでの常識を変えていく大陸生成の仕組みだ」として、今後はこの仮説が地殻の薄い他の海底火山でも成立しているかを検証する。