「全球降水観測計画」推進でNASAと了解覚書を締結
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月3日、NASA(米航空宇宙局)と地球全体に降る雨や雪を複数の人工衛星で観測する「全球降水観測(GPM)計画」の開発と運用に関する了解覚書(MOU)を締結したと発表した。
 21世紀は、「水の世紀」といわれる。GPM計画は、日米を中心とする国際協力で進めようとしている大プロジェクトで、主衛星1機と副衛星8機を使って3時間ごとに高精度な全球降水観測を行い、気候変動や地球規模の水循環に及ぼす降雨の影響を解明することを目指している。
 日米は、これまでに熱帯降雨観測衛星「TRMM(トリム)」を共同開発して打ち上げ、熱帯の降雨量の観測を行ってきたが、GPM計画の主衛星はその「TRMM」を継承する衛星として日米共同で開発を行い、副衛星群を米、仏、インド、中国などの機関が開発する青写真を描いている。
 GPM計画の中心になる主衛星は、二周波降水レーダーとマイクロ波放射計を搭載して2013年度にJAXAのH-ⅡAロケットで打ち上げられる予定で、JAXAが(独)情報通信研究機構と共同で二周波降水レーダーを、NASAが主衛星の本体とマイクロ波放射計をそれぞれ開発することになっている。
 今回のMOUの締結は、JAXAの立川敬二理事長とNASAのチャールズ・ボールデン長官の間で行われたもので、これによってJAXAが二周波降水レーダーの開発、主衛星の打ち上げ、データ処理を、NASAが主衛星の開発、主衛星の追跡と管制、マイクロ波放射計の開発、データ処理をそれぞれ担当する役割分担が正式に決まった。

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